はんぱログ

中途半端にいろいろ手を出してしまうので逆にいろいろ書けていいかなと思いたい。

帰国して社会人兼大学生に。決断を後押しした不思議な出会い

入学式が行われ、すでに授業が始まっている学校もありそうな今日このごろ。桜もだいぶ散ってしまいましたね。

実は仕事をしながら大学で勉強しています。ここに至るまでには、ちょっとした苦悩と不思議な出会いがありました。

ドイツでの職探し

何の計画性もなくドイツに住み始めた私は、だんだんドイツの自由な空気が好きになりました。そしてずっとドイツにいたいと思うようになり、無理だろうと半分あきらめつつも職探しを開始。

ドイツ語がイマイチで、中途半端な職歴しかなく、有効な資格もなく、そのうえ学歴は専門卒、しかも専攻はペット系。ツテもあまりなく、生まれながらに運も悪い。わかってはいたけれど、そんな人に、やっぱりチャンスは来ませんでした。

そのとき調べた限りでは、ヨーロッパで職人以外のそれなり(肉体労働や3K以外)の職に就きたい場合、大卒未満はかなり不利だということがわかりました。しかも専攻とインターンシップ、職歴などの整合性も重視されるようです。ドイツは特にそうかもしれません。

大学に行かないことを選んだのは自分です。手に職がないのも、ドイツ語レベルが低いのも、無計画であきらめに満ちた自分の人生も、自分のせいです。後悔しても仕方がないのですが、この時期は精神的に相当つらかったです。

日本の大学、ドイツの大学

ドイツの大学に入ることも少し考えましたが、「日本の大学卒業者もしくは1年以上在籍した者」のような入学条件があり、これを満たしていません。その場合、数年間別の機関に通って基礎科目などをみっちりと学ばなければいけないようです。

もちろん入学前にドイツ語試験にも合格する必要があり、稼ぐ手段がないまま語学学校に通い続けることはできません。語学学校生はバイトが禁止されていて、もししているのが見つかったら強制送還で二度とドイツに入国できないかもしれません。

切りつめても減り続ける貯金を前に、自由に働けるのが世界中で日本だけだということを恨めしく思いました。まだ少し、余裕はあったけど、仕事もないし大学にも行けないのだから帰国するしかないのです。

だったら、日本で働きながら大学に行きたい、という気持ちが強くなっていきました。でも当時すでにいい年の私は悩みました。いまさら大学に行って、どうするのかと。

もちろん学費も、数百万などとても払えません。いろいろ調べていると、学費の低い通信教育部というのがあることがわかり、一筋の光が射してきたような希望を感じました。

ただ、通信だと低く見られたり大卒とみなされないらしいという情報もありました。それに、社会人で大学で勉強している人なんて周りに1人もいないし、本当にひとりで勉強し続けられるのか、卒業できるのか..。そんな不安要素が頭の中をぐるぐる回っていました。

オランダ・ベルギーひとり旅

悩みながらも、オランダとベルギーを1週間ほど旅行したときのことです。

オランダには日系のホテルがあります。以前ホテルスタッフとして働いた経験があったので、好奇心で立ち寄ることにしました。館内は思ったとおりゴージャスで、ロビーにはスーツで身を固めたビジネスマンが数人。場違いな私は、フラフラと地下への階段を降りて行きました。

そこにはお土産やちょっとしたアクセサリーを販売する小さなショップがあり、店員さんはカウンターで本のようなものを眺めていました。私より少し年上の女性でした。他にお客さんもなく、ゆったりした空気。目があって軽く挨拶すると、「日本から来たの?」と話しかけられました。手にしていたのは、日本語会話の本。

「風邪で出勤できない友人の代わりに店番をしているんだけど、日本のホテルだから日本語のあいさつを覚えようと思って。」

気さくな物言いになんだか安心し、日本語を教えたりしながら、話はどんどん膨らみました。気づいたら、いつか日本語を教えたいと思っていることや、大学に行きたいけれど年齢的に悩んでいることを打ち明けていました。

その女性は、最近オランダ人と結婚してトルコから移住してきたそうで、トルコでは学生の相談に乗るカウンセラー的な仕事をしていたことを話してくれました。そして、学びたいなら絶対に学んだほうがいい、トルコでは30代でも大学に行ってる人はたくさんいる、勉強に年齢なんか関係ない、と強力にプッシュしてきたのです。

驚くほど的確に、私の心を後押ししてくれました。

私はたまたまその日その場所に行き、彼女も偶然その日にそこで働いていた。私は日本人で日本語教育に興味があり、彼女は日本語のあいさつを覚えようとしていた。私は大学に行くか悩んでいて、彼女は教育機関でカウンセラーの仕事をしていた..。

ここまでくると、運命とさえ思える、本当に印象的な出会いでした。ついに私は大学に行くことを決め、たとえ何年かかっても必ず卒業しよう、そして卒業できたらまた会いに行こうと決心したのでした。

最後に

この4月から、4年次になりました。仕事をしながらなのであと2年はかかりそうです。元来ナマケモノで、勉強なんか投げ出したくなるときもありますが、そのときはこのエピソードを思い出して頑張ろうと思っています。